排尿障害について
排尿障害は、排尿の頻度、量、感覚、または排尿のコントロールに問題が生じる状態を指します。
当院では、尿の回数が増えて困っている、尿が出にくい、など尿のトラブルに関して、お薬の処方や生活指導を中心に診療を行っています。
排尿障害は性別や年齢によらず誰にでも発症しますが、お薬によって改善が見込める疾患です。
以下に主な排尿障害について説明します。
排尿障害の種類
1. 排尿困難(尿が出にくい)
- 症状:
- 尿意があるのに排尿できない、尿が少しずつしか出ない、排尿に時間がかかる。
- 原因:
- 前立腺肥大症(男性)
- 尿道狭窄
- 神経因性膀胱(脊髄や神経の障害)
- 膀胱結石や腫瘍の物理的障害
- 治療:
- 薬物療法(前立腺肥大の場合、α遮断薬など)
- 外科的処置(尿道拡張、前立腺手術)
- カテーテル挿入(排尿が全くできない場合)
2. 頻尿(トイレが近い)
- 症状:
- 昼間または夜間に排尿回数が多い(一般的に1日8回以上)。
- 原因:
- 過活動膀胱(膀胱が過敏に反応)
- 尿路感染症(UTI)
- 糖尿病(高血糖による多尿)
- 利尿薬の使用
- 治療:
- 原因疾患の治療(感染症の場合は抗菌薬)
- 膀胱トレーニング(排尿感覚をコントロールする方法)
- 薬物療法(抗コリン薬やβ3作動薬など)
3. 尿失禁(尿を漏らしてしまう)
- 種類:
- 腹圧性尿失禁: 咳やくしゃみ、運動時に尿が漏れる。
- 原因: 骨盤底筋の弱化(出産、加齢)
- 治療: 骨盤底筋トレーニング、手術(スリング手術など)。
- 切迫性尿失禁: 急に強い尿意を感じて漏れてしまう。
- 原因: 過活動膀胱、神経障害。
- 治療: 薬物療法、生活習慣改善。
- 混合型失禁: 上記2つが混在。
- 溢流性尿失禁: 膀胱がいっぱいになり漏れてしまう。
- 原因: 排尿困難による尿の残り。
- 治療: カテーテル排尿、手術。
- 腹圧性尿失禁: 咳やくしゃみ、運動時に尿が漏れる。
4. 夜間頻尿
- 症状:
- 夜間に頻繁にトイレに行く。
- 原因:
- 加齢による抗利尿ホルモンの減少。
- 心不全や腎不全での体液分布の変化。
- 糖尿病。
- 治療:
- 原因に応じた薬物療法。
- 夜間の水分摂取制限。
5. 残尿感(排尿後もすっきりしない)
- 症状:
- 排尿後も尿が膀胱に残っている感覚。
- 原因:
- 前立腺肥大。
- 膀胱収縮力の低下。
- 神経障害。
- 治療:
- 薬物療法や排尿トレーニング。
診断方法
- 問診:
- 症状、生活習慣、既往歴を確認。
- 検査:
- 尿検査:感染症や糖尿病を確認。
- 残尿測定:超音波で膀胱に残る尿を測定。
- 尿流検査:排尿の勢いや量を調べる。
- 内視鏡検査:膀胱や尿道の構造的な異常を確認。
予防とセルフケア
- 水分補給: 脱水を避けるが、過剰な摂取は控える。
- 骨盤底筋トレーニング: 尿失禁の予防。
- 適切なトイレ習慣: 我慢しすぎず、規則的に排尿する。
- 生活習慣改善: アルコールやカフェインの摂取を控える。
以上のように排尿障害は生活の質に大きな影響を及ぼします。症状が続く場合は、ぜひ一度当院にご相談ください。